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2009年3月31日(火)〜6月7日(日)で行われます。
これは、奈良・興福寺の中金堂再建事業の一環として計画された展覧会であり、
天平伽藍の復興を目指す興福寺の貴重な文化財の中から約70件が展示されます。
展示されるものは、阿修羅像をはじめとする八部衆像(国宝)、十大弟子像(国宝)、
中金堂基壇から発見された1400点をこえる鎮壇具(国宝)や、
再建される中金堂に安置される薬王・薬上菩薩立像(重要文化財)、四天王立像(重要文化財)などです。
特に、八部衆像(8体)と十大弟子像(現存6体)の全14体が揃って寺外で公開されるのは、史上初めてのことのようです。
このサイトでは、この「国宝 阿修羅展」で展示される仏像などの詳細を調べたものを紹介しています。
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興福寺の八部衆像と阿修羅像
聖武天皇の皇后である光明皇后は、母の橘三千代が天平5年(733)に亡くなると、一周忌の供養のため興福寺に西金堂を建立し、
釈迦如来、釈迦の十大弟子、四天王、八部衆像などの28体の像、また菩提樹や金鼓(こんく)などの荘厳具を安置しました。
光明皇后は仏教に篤く帰依し、東大寺、国分寺の設立を進言したと伝えられています。
また貧しい人に施しをするための施設「悲田院」、医療施設である「施薬院」を設置して慈善を行いました。
夫の死後四十九日に遺品などを東大寺に寄進、その宝物を収めるために正倉院が創設されました。
さらに、興福寺、法華寺、新薬師寺など多くの寺院の創建や整備に関わりました。
興福寺の八部衆像
五部浄(ごぶじょう)・沙羯羅(さから) ・迦楼羅(かるら)・鳩槃荼(くばんだ)・阿修羅(あしゅら) ・
乾闥婆(けんだつば) ・緊那羅(きんなら) ・畢婆迦羅(ひばから)で仏の眷属(けんぞく)として取り入れられたインドの神々で、
6本の腕や鳥の顔といった異形の姿で表されます。
これらの像は、異形の中に少年の姿をかさね、清純な表現をつくりだしています。
憂いや、瞑想、凝視など目の表現が印象的です。
・五部浄像(ごぶじょうぞう)高さ50cm
八部衆の「天」に相当し、興福寺では八部衆の最初にこの神を置くことによって「天部」像を総称する。
像は胸から下を失っており、頭上には陸で最大の動物である象の冠をかぶり、正面を凝視しています。
・沙羯羅像(さからぞう)高さ154.4cm
八部衆の「龍」に相当します。
水中の龍宮に住み、雨を呼ぶ魔力を持つ。釈迦誕生のときに清浄水を注いで祝ったといわれています。
像は頭に蛇を巻き、その頭上で蛇頭を立てる。左を向き、少年の顔にあらわす。
・迦楼羅像(かるらぞう)高さ149.0cm
インド神話上の巨鳥で、ビシュヌ神が乗る鳥、すなわち金翅鳥(こんじちょう)である。
龍を常食とする。
請雨、止風雨、家内安全等の修法の際にこの神をまつるが、これは、毒や煩悩(ぼんのう)、
また、害を与える一切の悪を食いつくし、人々に利益をもたらすところからきたものであろう。
像は鳥頭人身で、左を向き、肩にスカーフを巻く。
・鳩槃荼像(くばんだぞう)高さ150.5cm
八部衆の「夜叉」に相当する。
梵天が造った水を守る神とも、死者のたましいを吸う悪鬼で人を苦しめる神、
あるいは財宝神毘沙門天(びしゃもんてん)の家来、また、南方守護神増長天(ぞうちょうてん)の家来ともされる。
像は正面を向き、炎髪(えんぱつ)、口を開き歯をのぞかせる。
・阿修羅像(あしゅらぞう) 高さ153.4cm
阿修羅像は3つの顔と6本の腕(三面六臂)をもつ少年のような可憐な像ですが、
胴体も腕もとても細く、脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)の技法で憂いのある敬虔な表情がとてもリアルに表現されています。
阿修羅はインド神話では軍の神で、激しい怒りを表すのが一般的ですが、興福寺の像に激しさはどこにも見られません。
阿修羅像は、当時、唐からもたらされた『金光明最勝王経』をもとにつくられたといわれています。
そこには、これまでの罪を懺悔して、釈に帰依することが説かれています。
阿修羅の表情は静かに自分の心を見つめ懺悔する姿を表したものと思われます。
阿修羅は元々は 梵名をアスラといい、もとはインド古来の異教の神で,怒りや争い,戦いなどが好きな鬼神でしたが、
お釈迦様に帰依して、仏教を守る八部衆に入りました。
八部衆とは、仏教が流布する以前の古代インドの鬼神、戦闘神、音楽神、動物神などが仏教に帰依し、護法善神となったもので、
天衆、龍衆、夜叉衆、乾闥婆衆、阿修羅衆、迦楼羅衆、緊那羅衆、摩?羅伽衆の8つを指します。
興福寺阿修羅像が造られた天平時代から信仰された。
「法華経」や「阿弥陀経」にお釈迦様の教えを聴く聴衆として出てきます。
・乾闥婆像(けんだつばぞう) 高さ148.0cm
帝釈天宮で簫(しょう)を吹き、音楽を流し諸神を供養する。
天界の神酒ソーマの番人、また、東方守護神持国天(じこくてん)の家来ともされる。
像は正面を向き、頭上に獅子の冠をかぶり、目を閉じる。
・緊那羅像(きんならぞう) 高さ 152.4cm
財宝神毘沙門天(びしゃもんてん)の家来、または帝釈天宮の音楽神ともされる。
「何か(kim)人(nara)」の意味で、人なりや何なりやで半神とされる。
像はやや左を向き、頭上の正面に1本の角を持ち、額には縦に1目を置き、3目とする。
・畢婆迦羅像(ひばからぞう)高さ 155.4cm
八部衆の「摩羅伽(まごらか)」に相当し、大蛇ニシキヘビを神格化した。
音楽をつかさどる神で、横笛を吹き諸神を供養する。
像は正面を見て、口や顎に髭をたくわえる。